蓮は、そのメールの文章と睨みあうだけで動かなかった。


「蓮!!人のメール勝手に見ないでよ!!もう!!返して!!」


何も知らない雪の怒鳴り声すら聞こえない。

蓮は心の中でメールの送信者に愚痴る。


"本気"じゃないだと?


ふざけるな。

お前は俺の何が分かってそんな事言うんだ?

顔も出せない奴にそんな事言われる資格なんてねえよ。


人の


人の大事な彼女に


手、出してんじゃねえよ。


怒りを抑えながら、そのメールを消す。




* *

「もう!!蓮、返してよ!!」


あたしは、蓮から自分の携帯を奪い取る。


「あっ…」

蓮は短く声を漏らし、あたしを見つめる。


あたしはそんな蓮を完全無視し、携帯のディスプレイを見る。


「あああああ!!」

携帯に浮かび上がった文字にあたしは、周りの人関係なく、叫んだ。


携帯には、


「メール



   消去中」


そう浮かび上がっていた。