「アキはあんな風にいい加減に見えるけど、実際はとても真面目だし寂しがり屋。きっと、そのこともハルさんならお気づきよね。」

その時、「ふふふ」と夏紀さんは笑った。

「ごめんなさいね。ハルさんは新婚ほやほやなのに、もし私の言うことが事実だったとしても「その通りです」なんて言えないわよね。」

思わずうつむいた。

なんだか、圧倒的に自分が負けてるような感覚。

あまりにも自分自身を見透かされているようで、その場から立ち去れるものなら立ち去りたいくらいだった。

震える膝をぎゅっと握り拳で押さえる。

「じゃ、お話だけ聞いて下さい。」

夏紀さんはそう言うと、コーヒーを一口ふくんだ。