「ハルさんは、私達二人のこと、アキからお聞きになられてるんですよね。」

言葉に詰まる。

だまっていると、夏紀さんから一方的に話し始めた。

「私は大丈夫。私自身、私達の関係が、一般的に見て倫理観の欠如した関係であることも十分理解しているつもりです。」

夏紀さんは、何が言いたいの？

「ハルさんは、おそらくアキがどんな人と、どんなつきあい方をされても、嫌いになったりはしないでしょう？」

突然、心の内を突かれたような衝撃が走った。

「それは、ハルさんがアキのことを大切な男性として見ている証拠じゃないかと私は思うんです。」

ドキッとした。

私を諭すかのような静かな、落ち着いた口調で。

夏紀さんの澄んだ瞳は、強い光を持った生き物のように私をとらえた。

悔しいけれど否定できなかった。

今までだったら許せるはずもないタイプのアキのこと、私はいつのまにか受け入れていたから。

それに、そんなアキのこと、ずっと気にならずにはいられなかった。