「余裕で空いてるわ。」

「じゃ、決まりね!最近会社の近くの新しいビルにおいしいイタリアンのお店ができてさー。そこはどうかな?」

「うん、いいねー!イタリアン。新しいお店なんだったら是非行ってみたいわ。」

「そこのシェフがなかなかのイケメンでさ。」

「そりゃ、尚、結構じゃない?」

二人でケラケラと笑った。

「で、最近ハルは何して生きてるの?」

「うわ、小馬鹿にした言い方ね-。それなりに物書き生活してるわよ。」

「へ~、まだ続けてるんだ。童話作家さん。」

「そうだよー。OLは辞めても書くのは止められないわ。」

「すごいじゃん。私なんか昔から作文すらろくに書けないタイプだったから、ハルみたいに文章書くのが得意な人って尊敬ちゃう。」

「尊敬してしてー!」

「ばっかだねぇ。」

こんなくだらない会話でも、久しぶりのテンションが上がった。

「それにしても、わざわざお誘いの電話くれるなんて、何かあったんじゃない?」

「う・・・ん。まぁね。ちょっと相談したいこともあってさ。」

「何よ?」

「電話じゃなんだから、それは今度会った時にゆっくり話すわ。」

「オッケー、楽しみにしてる。」

「じゃ、来週の木曜、いつもの駅の改札出たとこに12時ね。私も楽しみにしてるわー。」

優花の明るい声聞いてたら随分元気復活した。

やった!

久しぶりの外食。

しかも私の大好物のイタリアン!

結婚すると、外食もなかなか機会がないのよね。お金もかかっちゃうし。

優花は、直太もよく知ってる私の親友だからきっと許してくれるだろうし。

がらんとしたスケジュール帳に急いで書き込んだ。