「ごめんごめん、からかうのはこれくらいにして・・・と。」

アキはそう言うと座り直して、飲みかけのコーヒーをぐいっと飲み干した。

「旅行は行ってない。」

「え?」

「旅行の前日に彼女から連絡があって、やっぱり行けないっていわれてさ。」

アキは淡々と、寂しそうな表情一つせず笑って言った。

「そうなんだ。」

笑って話すアキを見てる私がなんだか寂しくなってきた。

「どうしてハルがそんな悲しい顔すんのさ。」

どうしてだろ?

「理由はきかないの?」

「聞いてもいいの?」

アキはくすっと笑うと、

「俺、ハルのそういうとこ好き。」

と私の目を見て言った。