「え?何?もう帰っちゃうの?みたいな顔してる。」

アキはぷっと吹き出して、笑った。

え、え、何よー!顔に出てた??

「わかりやすな、ハルって。」

アキは耳の後ろをポリポリと掻いて、少しうつむいた。

「帰らないよ。まだ仕事の話も、彼女との旅行の話も途中だったろ?それに。」

それに?

「今日夜ご飯一人なんだったら、一緒に食おうよ。どうせ俺も今夜は暇だしさ。」

アキは私をまっすぐ見つめた。

この目。

やっぱりダメだ。凝視できない。

そんな自分の動揺をごまかすように、アキの横をすり抜けてリビングに向いながら言った。

「晩御飯はともかく、とりあえず仕事の話を先やっちゃいましょうよ。まだきちんとイラスト見てないもの。」

私の背後からアキがゆっくりと歩いてくる。

なんだかわからないけど、その空間がとても温かくて愛しい。