その時、玄関でガチャっと扉の開く音がした。

え？

「ハル？いる？」

聞き慣れた声。

直太だ！

え？どうして？

なんでこんな早い時間に帰ってくるの？！

私は慌てて立ち上がった。

急なことに焦って、額にへんな汗が出てる。

だって、勝手にアキを家に入れてるなんてわかったら怒るに決まってる。

それに、ややこしいから、アキと一緒に仕事してることもまだ一言も言ってないし。

どうしよう？

「ハル？」

アキが少し不思議そうに私を見つめている。

「あ、直太が帰ってきたみたい。どうしよう。まだアキにイラスト描いてもらうこと話してないの。」

取り乱した私の様子を見て敏感に状況を察知したアキは、優しく笑った。

「俺、いるとやばいんだね。オッケー。ちゃんと話つけるから大丈夫。」

妙に落ち着いたアキが頼もしい男性に見える。

そんなアキの姿と言葉に私の気持ちも落ち着きを取り戻していった。

「ハル？いるのか？」

直太がリビングにゆっくりと入ってきた。

そして、対面して座っているアキと私を見ると明らかに不愉快な顔をした。