家について、リビングを片づけた数分後、玄関のチャイムが鳴った。

アキだった。

いつものような爽やかな笑顔はなく、心なしか疲れた顔をしている。

私に彼女を知られたのがショックだったのかしら?

「彼女との旅行明けだっていうのにえらく元気ないじゃない。」

椅子に座ったアキはチラッと私の方を見た。

「よりによってハルに知られちゃうなんてな。」

アキはわざとらしく長いため息をついた。

「なんでよ。別にいいじゃない。誰にも言わないわよ。」

「俺さ、近しい人に自分の弱みにぎられんの苦手なんだよね。しかも詮索好きなハルにだなんて。そのうち、またチクチクやられそうだよ。」

「失礼ね。そんなにアキのこと興味ないわよ。自意識過剰さんもほどほどにして。」

なぜだか必要以上にきつい口調で言ってしまった。

アキは少し寂しそうな目で私を見た後、何事もなかったように茶封筒からイラストをそっと出した。