「じゃ、正直に言うよ。」

「うん。」

手のひらに汗がにじんでいる。変な緊張。

「毎回、本気だよ。」

真剣に聞こうとした私が馬鹿だった。

「そんなあきれた顔すんなよ。じゃ、本気で好きっていうのはハルにとってはどういうものなの?」

「え?それは・・・、真剣に結婚考えたりとか、相手の幸せを考えたりとか・・・。自分本位なものとは違うと思うの。アキの話聞いてたら、あまり相手のためにっていうのが感じられないっていうか。」

逆にアキに切りかえされて、慌てて言葉を選んだ。

確かに本気って、何だろう。

「それが本気ってこと?」

アキは、まっすぐ私を見つめた。

私も続ける。

「要は、今の彼女さんの場合だったら、夜寝るだけでいいなんて言葉は出てこないと思うんだけど。」

思い切って言ってみた。

アキは冷静な笑みを浮かべながらうなずいてる。

「それだけ?」

「え、まぁ。とりあえずは。」

「とりあえずは・・・か。」

アキは私を見透かすように軽く笑った。

「俺は、結婚が全ての終着駅っていうのがそもそもの間違いだと思うけどね。ハルは、結婚して幸せになった?大満足してる?」

「そりゃ、それなりに・・・。」

と言ったものの、「幸せ」って本当は何なのか未だにわからなかった。