アキは、紅茶と一緒に出したクッキーを口にほおばりながら、

「平日って、一人で何やってるの?」

と聞いてきた。

「別に。原稿依頼がない時は、何もしてない。」

「つまんないね。」

そう言うと、今度は「ふーふー」と何度もわざとらしく冷ましてから、紅茶を一口飲んだ。

「暇なんだったら、俺と婚外恋愛しない?」

またいつものニヤッとした笑いを浮かべて、私を見た。

「ばかいわないでよ。私はそんなに軽くないし、もともとアキみたいな男性ってタイプじゃないから。」

ムキになって慌てて言い返してる自分に違和感を感じつつ。

「ふ~ん。俺の経験上、そうやってムキになって否定する女の子って、大抵俺にはまってたりすること多いんだけどねぇ。」

上目づかいで見るアキの目に一瞬ドキッとする。

嫌な奴。

話題を変えよう。

「明日なんか用事が入ったっていってたけど、おモテになられるアキ様はまたデートかなにか?」

「うん、そう。彼女と明日から2泊3日で旅行。」

心臓がキュッときしむ。

深呼吸をして、また話題を変える。

「あ、そう。ええと、元カノとは、その後大丈夫なの?」

「ああ・・・。」

元カノの話になると、なんだかアキは元気がなくなるような気がする。