やっぱり私から連絡しなきゃダメなのかなぁ。

だって、アキは私の携帯知らないんだもの。

結局私からかけさせようって魂胆だったのかな?

ソファーの上に転がっていた携帯を手にとって、アキの番号を押していく。

今、アキって何してるんだろう?

まさかまさかのデート中とかだったら、間が悪いよなぁ。

ふ~。番号を打つ手を止めて一旦切る。

私、電話かけるの苦手なんだよね。

相手のこと色々考えちゃうと結局かけられなくなる。

こういう時、なまじ童話を書いてるもんだから、想像力がありすぎて困る。

でも、もしデート中で出たくなかったら出ないだろうし。

出てもすぐ切るだろうし。

もしかしたら、イラスト作成に煮詰まってて、私からの連絡を待ってるかもしれないんだもんね。

は~、考えるのに疲れた。

どうでもいいや、かけちゃえ!
 

トゥルルルー

携帯の呼び出し音が、私のそんな思いをよそに機械的に耳にこだましている。

プチ。

「はい、日色ですが。」

妙に真面目な声。 

そっか、私の携帯番号知らないから、誰からかかってきたかわからないんだ。

「あの、ハルですけど。」

「あー!ハル?よかったー。今、家?ちょっと待ってて。」

ブチっ!

へ?切れたんですけど。

「ちょっと待ってて」ってどういう意味?

その時。

ピンポーン。

玄関のチャイムが鳴った。

まさか?と思いながらインターフォンに出る。

「はい?」

「俺、俺!来ちゃった。」