「彼女が結婚してたってことは、最初知らなかったの?」

「うん。知らない。仕事関係で知り合って、彼女の方から誘ってきたしね。」

「でも、その恋愛は成就しないんでしょ?それでも、アキはいいの?」

「なんだか取り調べされてるみたいだなー。ハルって見かけによらず追求してくるね。」

アキはいたずらっぽく笑った。

だって、ここまで聞いたらちゃんと聞かないと気になるんだもん。

こんな恋愛してる人、周りにいなかったし。

「ま、いいや。成就しない恋愛?それも全く問題なし。俺ってさ、とりあえず寂しい夜に気持ちよく一緒にベッドで過してくれたらそれでいいの。」

あまりにあっけらかんと言うものだから、一瞬わからなかったけど、だんだん自分の顔が赤くなっていくのがわかる。

「あー。ハル、何想像してんの?一緒にベッドで過すってどういう意味だと思ってるの~?」

アキは膝をたたきながら笑った。

そんなにうけること??

子ども扱いして!

全く失礼極まりない奴だわ。

「わかっちゃ悪い?」

思わず憮然と言い返した。

「あはは、ほんとおもしろいねー。ハルって。好きになっちゃいそう。」

アキはまたほおづえをついて、不敵な笑みを浮かべて見つめてきた。

心臓がバクバクしている。

「ちょっと、おちょくりすぎじゃない?」

熱い頬をごまかすように、口をとがらせて言い返した。