「なんだか「春咲」さんのイメージとはほど遠いきっつい言い方だなぁ。」

アキはほおづえをついて、じっと私の目を見つめた。

胸がチクッと痛む。

なんか軽蔑されてる?っていうか、軽蔑されるべきはアキなわけで、そんな顔して見ないでよ。

思わず視線をそらした。

でも・・・アキの言うように、ほんと、らしくないかも。

どうしてそんなこと言ったんだろ。

アキは私に視線を向けたままコーヒーを一口飲んだ。

「もともと浮気してんのは彼女の方だから。」

「え?」

「今付き合ってる彼女ってさ、夫も子どももいるんだよね。」

あまりに衝撃的な告白で、言葉が出てこなかった。

それなのに、アキは人ごとのように淡々と話してる。

なんなの一体?!

「いわゆる、婚外恋愛ってやつらしいよ。旦那との関係も冷え冷えで、お互い浮気してるのを認めてるんだってさ。俺も最初聞いて耳を疑ったけど。」

「婚外恋愛?」

「結婚していながら、伴侶も了解の元、伴侶以外の異性と恋愛すること。ま、いわゆる旦那承諾の不倫。」

「そんな・・・。」

「まぁ、新婚ほやほやのハルには想像もできないことかもしれないけど、結構あるらしいよ。こういうの。」

「アキ・・・は平気なの?」

「別に。好きになった相手にたまたま旦那がいたってだけでしょ?俺、今までもそういう恋愛してきたから何とも思わないけど。」

ショックだった。

アキに対しても。

そういう現実があるってことも。