「アキさんって不思議な人ですね。」

「え?急になんだよ?」

アキはほおづえついたまま、こちらを見た。

「だって、さっきまでふざけたこと言ってたかと思ったら急に真面目な顔したり、軽い感じでいくのかと思いきや、すごく繊細な一面を見せたり。なんだかよくわからないんだもの。」

「そっか?」

あれ?アキは自覚症状ないんだ。

こんなにころころ変わる自分。

それともあまり触れてほしくない?

その会話にはあまり食いつく様子もなく、ポケットから携帯を取り出して何か確認するとまたすぐにしまった。

「それよりさ、俺のこと、アキさんって呼ぶのやめてほしいな。」

「え・・・でも、一応私より年上だし、親戚だし。」

「アキって呼び捨てでいいよ。「アキさん」って、なんだかださいし。」

思わず吹き出した。

言われてみると「アキさん」って本当にださい。

見た目とのギャップありすぎるし。

アキの表情が和らいだ。

「やっと笑ったねぇ。」

アキの目が私をとらえた。

吸い込まれそうな強い眼差し。

また顔が熱くなってきた。

「ハルさんって、披露宴の時も全然笑ってなかったしさ。あまり笑わない変な奴って思ってた。」

「は?!変な奴って?」

「俺からしたら、ハルさんの方がずっと不思議な人に思うけど。だって自分の晴れの日にぶすーっとしてんだぜ。そんな花嫁さん見たことないって。」

アキは笑いながら水を一口飲んだ。

披露宴の時、会場にいたわずかの間に私のこと観察してたんだ。

なんだか恥ずかしい。

それにしても、私って変わってる?

失礼しちゃうわ!

変わり者のアキに言われるんじゃ相当なのかな・・・

それとも似たもの同士とか?!

なんて、ちょっと考え込んでる私を見て、落ち込んでると勘違いしたのか、

「ごめんごめん、軽い冗談だってば。」

と慌てて謝った。