「これより、新郎新婦が皆様のテーブルにご挨拶に回ります。どうぞ一緒にお写真を撮ったりお話なさったり、思い思いお楽しみ下さい。」

司会者がこちらに向かって楽しげに笑いかけた。

『思い思いお楽しみ下さい』なんて、親戚のテーブル回って何が楽しいんだか。

心の中で舌打ちしながら、介添えさんの誘導でとりあえずの笑顔を作って立ち上がった。

は~、こんな重たいドレスを引きずって全てのテーブル回るなんて、かなりの重労働。

これも直太の提案。

ほんと、全部私の反対を押し切って直太の思い通りになっちゃった披露宴。

これから先が思いやられるわ・・・まったく。

直太の腕に手を回してゆっくりと親戚達が座るテーブルに向かった。

さっき気持ちよく歌ってた直太の叔父さんが座ってるテーブルだ。

「直太くん、素敵なお嫁さんもらって幸せ者ねぇ。」

叔母さんが、直太の肩をポンポンと嬉しそうに叩いた。

直太は少し照れくさそうにペコっと一礼して自分の頭を掻いた。