「ハルちゃんも、私と一緒ね。」

萩原さんは、小さくガッツポーズを作って、ホッとしたように笑った。

山根編集長は、私が荻原さんと同意見だったからか残念そうな表情で頭をポリポリ掻いた。

そして、「ハルちゃんは、この絵のどこが気に入った?」

と優しく聞いてきた。

「なんだかこちらの方が激しさの中にも繊細な雰囲気がしてて、他にどんなイラストが描くのか見てみたい印象だったので・・・。」

「そう。」

荻原さんは何度もうなずきながら、その絵を手にとって眺めた。

「実は、このイラストは日色アキが描いたの。まだ若いんだけど、結構いい絵描くのよ。」

この絵が日色アキ?!

まじまじと、アキの絵を見た。

これがアキの描く絵。

正直、惹かれるイラストだった。

単純な線の中に、いっぱいの思いが込められた深い絵。

こんな絵をあんな奴が描くの?

意外すぎて絶句。

「あれ?ひょっとして、ハルちゃん、アキのこと知ってるの?なんだかびっくりした顔してるけど。」

「え、あぁ。すみません。知ってます。」

「なんで?ひょっとして以前ナンパされたとか?」

荻原さんは冗談めかして笑った。