右側に置いてあるのは、淡い色あいの水彩画。輪郭がぼんやりとしていて独特の雰囲気がある。

左側に置いてあるのは、極細の単線でさらさらっと描かれた少女の絵に、水彩で絵に関係なく色が塗られてる。

濃い色もあれば明るい色もある。

なんだかわからないけど、その少女の心を映しているような色合いだった。

「私はね、この左側の方が、今回のハルちゃんの話には合うような気がしてるんだ。ハルちゃんのイメージとは一見かけ離れてるようなタッチなんだけど、ナイーブな雰囲気がストーリーにはマッチするような気がして。」

荻原さんは腕を組んで、じっと二つの絵を眺め比べている。

「僕は、荻原くんと違って、やっぱりハルちゃんの文体の持つ柔らかいイメージに合うイラストの方がいいと思うんだけどねぇ。」

「ハルちゃんは、パッとこの2枚見た感じどう?」

私はどっちが好きなんだろう?

右側は優しくて見てて気持ちも癒される感じ。

左側は、なんだかよくわからないけど、じっと見ていたくなるような気になる絵。

このイラストレーターが他にどんな絵を描くのかもっと知りたくなった。

思わず、

「左の方が気になります。」

と言っていた。