「おしまい。」

私はそう言うと、絵本をぱたんと閉じた。

絵本の表紙を向ける。

なぜかアキの描いた表紙は、青空に白い月と鮮やかな虹の絵だった。

どうして夜空じゃなく青空にしたのか。

アキの優しさだと、私は思っている。


実は、この話のみいちゃんは私自身だった。

幼い頃に母と離れて暮すことになってしまった私。

アキには告げれずにいたけど、私もアキと同じように寂しい幼少期を過ごしていたんだ。

この表紙の青空は、アキから少女への思い。

温かい気持ちだった。

まるで、私への声援のようで、嬉しかった。


絵本をそっとサイドテーブルの上に置く。

ミフユは、私に「読んでくれてありがとう。」と言って、そばにある玩具で一人遊び出した。

子どもって気ままなもんだ。

でも、その姿はどんなことがあっても守るべき、ゆらぐことない大切な存在。

私はミフユから、決して離れない。

どんなことがあっても。


アキ。

今どうしてるんだろう。

アキにはゆるぎない大切な存在ができましたか?