「いつか・・・って。」

もう会わないんじゃなかったの?

「色々考えたんだ。もし、俺がハルと会う時がくるとすればどういう時なのかなって。」

「・・・どういう時?」

涙を堪えながら尋ねた。

「俺にとってハル以上の存在を手にしたとき。」

私以上の存在?

「その時は、ハルに会ったって気持ちがぶれないと思う。だから、誰にも迷惑かけないでしょ?」

アキは笑った。

「ま、そういう時が来れば、の話だけどさ。だって、このまま『さよなら』なんて、本当に映画のラストシーンみたいで悲しいじゃん?」

その言葉に思わず吹き出した。

「そうだね。うん、いつかまた会えるって思って別れた方が、気分が明るいものね。」

本当にその通りだった。

アキのその言葉を聞いて、いつの間にか私の涙はひいていった。

例え、もう会えなくても。

アキから言った。

「じゃ、またいつか会う日まで。」

「うん。会える日が来ることをずっと祈ってる。」

私の本当の気持ちを言えないまま。

だけど、最後に自分の気持ちを精一杯込めて言った。

『祈ってる』


そして、アキとの最後の電話は切れた。