私が、アキの絵を見て泣いたってばれてしまったのかしら。

ああ。

今日は失態だらけ。

「私もね、アキのこの表紙見たとき、なんていうか心に迫ってきて、胸が苦しくなるほどの感動をおぼえたのよ。普段からは想像でもできないわよね。アキの今までの作品とはまたひと味違って、すごく気持ちがこもってる感じ。次が読めない・・・だから一層に、アキっていうイラストレーターに魅力を感じる。ハルちゃんも、アキのイラストに魅力感じてるんじゃない?」

アキのイラスト。

アキのイラストはアキそのもの。

アキ自身なんだもの。

魅力的でないわけがない。

私はあえて何も言わず、一度だけうなずいた。

そのまま、全てを見ずに私は自分のバッグに雑誌をしまった。

全部見たら、絶対泣いてしまうような気がしたから。


その後は、荻原さんとたわいもない話をしながらランチを楽しんだ。

久しぶり。

こんなに楽しいランチ。

少し食べ過ぎたかしら。


食べ終わって、お店から出た途端、下腹がにぶく痛んだ。

なんだか嫌な予感。

荻原さんと別れた後、駅のトイレに行くと、出血していた。

目の周りがくらっとする。

赤ちゃん。

大丈夫なの?

下腹のにぶい痛みを我慢しながら、タクシーを拾って、産婦人科へ向った。