「でも、アキ・・・さんはもうすぐパリに立っちゃうんでしょ?」

「うん。そうなんだけど・・・。この話は、まだアキには話してないのよ。もし、アキが引き受けてくれるなら、少々郵送費は高くつくけど、この件に関してだけは仕事お願いしたいなって思ってるの。これも、全く私の独断なんだけどね。」

荻原さんは、いたずらっぽい顔でウィンクした。

そんなこと。

アキは。

アキは引き受けるのかしら。

でも、もし引き受けてくれるなら、アキと私はまだ繋がっていられる。

急に胸の奥から明るい光が差し込んできたようだった。


そんなことで、喜んでいる状況ではないはずなのに。


それに、アキが引き受けるかどうかわからない。

だって、私との縁を頑なに切ろうとしてるんだもの。

本当なら、私もそうすべき方を選ぶべき。

「アキ、アキさんがもし引き受けてくれるんだったら、がんばって連載書いてみようかな。」

なのに、気づいたらそう答えていた。

これから出産も控えて、ますます大変な身の内だというのに。

「わ、本当?ハルちゃんからまさかそんな早くに返答もらえるなんて思ってもいなかったわ。でも、これからお腹も大きくなって、出産も控えてるけど、大丈夫かしら?提案しといて、少し心配なんだけど。」

「荻原さんがついていて下さるなら、なんとかがんばれそうです。よろしくお願いします。」

「そっか。もちろん私は全力でバックアップするから!」