「ハル?・・・泣いてるの?」

アキはずるい。

本当にずるいよ。

慌てて涙をふいて、深呼吸した。

「月曜は、あまり時間がない・・・ってことかな。」

なんとか口から絞り出す。

「う・・・ん。空港でだったら1時間ほどかな。実は月曜にしたのは、ハルに見送りにきてもらいたかったからだったりもするんだけどさ。」

アキは本気なのか冗談なのかわからないような声で言った。

「ばっかじゃない。」

そう言ってから、また涙が止らなくなる。

もう、アキと会えなくなるの?

こんなにも恋しいのに。

こんなにも苦しいのに。

「こんな俺だけど、月曜、空港に来てくれる?」

「うん、行くよ。行く。絶対行く。」

涙でぐしゃぐしゃになりながらも必死に答えた。

「さんきゅ。」

アキは静かに言った。

そして、電話は切れた。


アキは、これから、色んなしがらみから解き放たれて、本当に自分のやりたいことを始めようとしている。

なのに。

私は一体何やってるの?