「まずね。アキさんと・・・」

「アキと会うんだろ?」

え?

何で直太が知ってるの??

訳がわからず、目を見開いたまま止ってしまった。

本当は、雑誌の打ち合わせで会わなきゃならないって適当にごまかそうと思ってたのに。

思いがけない直太の発言に次の言葉が出てこない。

私の驚いた顔を見て、直太は少し笑ってうつむいた。

「驚いた?」

「う。うん。」

思わず自分のお箸をテーブルに置く。

「実はさ、昨日夜飲みに行った相手ってアキなんだ。」

アキ?

「急にアキの方から誘ってきてさ。俺もこないだの叔母からの話も気になってたし、丁度いいかと思って会うことにしたんだ。」

思わずごくりと喉が鳴った。

「ごめんよ、ハル。アキから色々と事情は聞いたよ。本当だったんだな。あの雑誌の件は。雑誌担当者からかなりハルが圧力かけられて、体調悪いのに無理して探し出したそうじゃないか。少しでも疑った自分が恥ずかしかったよ。」

直太は前髪をかき上げた。

「それから、来週の月曜。アキと会ってこいよ。ひょっとしたら最後になるかもしれないんだろ?」

最後・・・って?

「アキから聞いたよ。アキ、本格的に絵の勉強するために来週パリに発つんだって?雑誌の件といいお世話になったハルに最後にお礼したいから月曜会っていいか?ってアキから頼まれちゃたよ。多少、嫉妬はあるけどさすがに俺もそれはダメだとは言えなくってさ。」

パリに発つ??

一体どういうこと?

ぼーっとした表情で、直太の顔を見つめた。