自分のお茶碗にご飯をよそって、直太の前に座る。

目が合った。

「なんだか久しぶりだよな。こんな風に二人そろって飯食うの。」

「うん。私もそのこと今考えてたとこ。」

「いっつも俺遅いもんな。ごめんよ、ハル。」

謝らないで。

今は直太に頭下げられるのがとても辛い。

直太は、鯖の煮付けに箸をつけた。

一口食べて、嬉しそうに頷いている。

鯖の煮付けは、直太の好物だ。

「あのさ。」

思い切って口を開く。

直太はジョッキのビールを半分ほど空けて、私の方を見た。

「何?」

「ちょっとさ、今日は話があって。」

「なんだよ、改まって。なんだか緊張するじゃんか。」

直太は急に姿勢を正した。

変な緊張感が二人の間に漂う。

やだ。

こんな風な状態で話すの。

わざとへらへらと笑ってみせる。

「なによー。そんな改まる話じゃないんだけど。ほら、直太も食べながら聞いてよ。」

私はそういいながらおみそ汁を一口すすった。

「おう。じゃ、リラックスして聞くぞ。何だよ。」

「うん・・・。話したいことは二つあって。まず一つ目。」

「二つもあんのかよ。」

「そうよ。前フリしといた方がいいかと思ってさ。」

その意味があまりわからないのか、直太は首をかしげて焼き魚に手を伸した。