「それは、難しいわ。」

小さな声で答えた。

「じゃ、会わない。」

ひどい。

「ハル。俺、直太兄がハルのバックにいるって思わないと、普通に会えない。だって、もう会わないってハルに伝えた時もかなりの覚悟だったんだぜ。その覚悟を破るんだ。ってことは、俺の覚悟や決意が一度でも消えるってことはさ、かなり俺自身の気持ちがやばい状態なわけ。わかるだろ?俺の言ってる意味。」

「うん。」

「だから、理由は何でもいいよ。直太兄に俺と会うっていう事実だけは事前に言っておいて。それは、俺たちが会う必須条件だよ。」

今の私には、正直アキの覚悟なんてどうでもよくなっていた。

それ以上に会いたかったから。

会った後、どうなっても構わないっていう思いも正直芽生えていた。

その時、下腹がキュッと痛んだ。

「いたっ。」

「ハル?どうした?」

「ううん。大丈夫、少しお腹が痛んだだけ。」

アキはだまっていた。

私のその言葉から何かを感じ取ったのかはわからないけど。

「来週の月曜なら、俺空いてる。ハルが直太兄に話できたら、それまでに連絡してほしい。」

「わかった。」

「体大事にしろよ。」

「うん、ありがと。」

そして、電話は切れた。