「会っちゃうと、たぶん、俺の決意が乱れると思うから嫌なんだけど。」

アキは少し低音の声で言った。

胸の奥がドクンとする。

その言葉に私は、アキを、アキじゃなく一人の愛しい男性として意識した。

会いたい。

アキの決意なんて、どうだっていい。

そう思いながら、下腹をさすった。

「会いたいの。」

思わず、口からこぼれた。

アキは、しばらくだまっていた。

「俺、どうなるかわかんないよ。」

自分の深い深い奧の方がキュッと締め付けられるようだった。

「でも。」

と言いかけた時。

「いいよ。じゃ、あと一度だけ。」

アキは静かに言った。

必死に冷静さを保とうとするかのように。

アキは続けた。

「でも、これだけは約束して。」

「何?」

「俺と会う前に、必ず直太兄にはきちんと伝えてから来て。」

え?

どうして、そんなこと言うの。

そんなの無理に決まってるじゃない。