「体調は、どう?」

アキの方から聞いてきた。

まるで、私の気持ちを察するかのように。

「うん。そのこともあって電話したんだ。」

「悪いのか?」

「悪いっていう表現は適切じゃないと思う。」

「じゃ、悪くないの?」

アキは少し笑った。

「そういうんじゃなくて。」

私も笑った。

ただ、これだけのくだらない会話なのに、体の芯から温かくなってゆく。

「そういうことも、全部、会って話したいの。」

我ながらしつこいなって思う。

電話の向こうで静かなため息が聞こえた。

「ハルって、相変わらずっていうか。自分の意見は絶対曲げない性格なんだね。」

な、何よ。

お見通しみたいな言い方。

ちょっとムッとした言い方で返す。

「大事な話は電話ではしたくないだけよ。」

「はは、そういう切り返し方もハルのまんま。」

くそっ。

って言ったものの、不思議なほど腹は立たなかった。

今はアキの全てを受け入れられる様な気がする。