リンゴの皮を剥いて、ガラスの器に盛る。

その器を両手で持って、ゆっくりとリビングのテーブルに向った。

妊娠してるかもしれないっていうだけで、こんなにも自分の体を守ろうとしてる。

なんだか不思議だ。

自分の体なのに、自分の体じゃないみたい。

リンゴを一つかじりながら、ふんわりとした幸せに包まれていた。

でも。

こんな気持ちで赤ちゃんを産んで育てられるんだろうか。

やっぱりきちんとアキに自分の気持ちを伝えて、「さよなら」ができないとこのお腹の赤ちゃんにも申し訳ないような気がするんだ。

産婦人科で妊娠が確認できたら、アキに連絡しよう。

幸せな気持ちと、不安な気持ちが交錯する。

この自分の判断に間違いがないことを祈りながら・・・。

私にはまだ親になる自信は全くなかった。

それなのに。

神様?