アキの電話が切れた直後、また携帯が振えた。

直太からだった。

「はい、直太?」

「うん、今昼休みなんだ。どうだ?体調は?」

あ、もう12時回ってたんだ。

直太に気づかれないように涙を手の甲で拭いた。

「今は随分落ち着いてる。熱も下がってるし。」

「そうか。よかった。今日も早めに帰るから。ハルは今日は何もせずに1日ゆっくり寝とくんだぞ。」

「うん。わかった。」

「じゃ、また帰りに電話するわ。」

「あ!」

切れそうになった直太を引き留める。

「何?」

「ありがとね。」

直太は明らかに照れくさそうに笑った。

「ハルは、俺の大事な嫁さんだからな。」

胸がきゅうっと締め付けられた。

そして、静かに電話を切った。