気がつくと、おでこがヒンヤリとする。

少しずつ目を開けると、薄暗い明かりの向こうに直太がいた。

椅子に座っている直太は、手に単行本を持ったまま、コクリ、コクリと船をこいでいた。

ヒンヤリとするおでこに手をやると、冷たいタオルが置かれてあった。

直太?

ベッドの横にある時計を見ると、既に午前1時半を回っていた。

「な、おた?」

静かに呼んでみる。

直太はビクッとなって、私の方を見た。

「あ、ハル。目が覚めた?」

そして、すぐに私の枕元に近づいておでこに手を当ててきた。

「熱は、まだありそうだな。明日朝一で病院へ行こう。大丈夫か?気分は悪くないか?」

直太は心配そうに私の顔をのぞき込んだ。

「うん。心配かけてごめんね。」

直太はスーツ姿のままだった。

帰ってきてから、ずっと私の看病してくれてたの?