「ごめんよ、ハル。そんなこと言うからハルが困って、苦しいんだってわかってるのに。俺ってどうしても言っちゃうんだ。きっと俺には何かが欠けてる。」

アキはそう言うと、まっすぐ前を向いた。

「でも、今決めたんだ。俺はハルが好きだけど、やっぱりそれ以上求めないって。」

求めない?

「まー、かっこよく言えばさ、惚れた女を遠くで幸せを祈るってか。ハルは、今まで付き合ってきたどの女とも違うんだ。」

アキは、ニヤッと笑った。

まるで自分の気持ちをはぐらかすかのように。

でも、今はそれが全て本音だってちゃんと理解できるよ。

「一人の夜はもう不安じゃない。そばにいなくても、ちゃんとハルはそこに存在してるんだもんな。不思議だけど、いつもハルを感じることができるんだ。」

私を支えるアキの手に力がこもった。

胸がキュンとする。少女の頃に戻ったみたいに。

「俺は約束するよ。例え、そばにいなくても俺の思いはいつもハルのそばでハルを見守るって。」

何か言いたい。

私の気持ち。

本当は、言いたかった。

でも、言えなかった。

「少しあわない間に、アキ成長したんじゃない?」

ふふん、と笑ってみせる。

さっきのアキのように、はぐらかすように。

「だろ?日々成長だっての。もういい年した男がさ。」

アキは目を細めて笑った。

うん、アキはもう大丈夫だよ。

夏紀さんは心配してたけど。

全く大丈夫。

あと一つ気になること。

元カノは?