アキはズボンのポケットから携帯を取り出した。

「はい。俺だけど。あ、あぁ・・・。すぐ行くわ。うんうん。オッケー。」

携帯を閉じると、アキは小さなため息をついた。

「あ、ごめんね。急に行かなきゃなんなくなっちゃって。悪いけど、俺の封書も一緒に出しといてくれない?」

「え?!」

「送料は、今度会ったとき倍にして返すから。そんじゃ、直太兄にもよろしく!」

アキは私の目の前にドサッと自分の封書を置いて、明るく手を振って去っていった。

な、なんなのよ~!!!

なんて、勝手な。何て気ままな。

私は呆然とアキが出て行った回転扉を見つめていた。

アキの後にはふんわりといい匂いが残っていた。