さっき送ったメールのことかな?

「メール読んでくれた?」

少し間があって、

「ああ。」

と気のない返事が返ってきた。

「どうしたの?」

携帯の向こうで、深いため息が聞こえる。

「俺、絵が描けなくなっちゃったよ。」

「・・・?」

「次の仕事、荻原さんに回してもらってるんだけどさ、一向に筆が進まないってうか。初めてなんだ。そんなこと。」

「どうしちゃったの?」

アキはゆっくりと呼吸を整えている。

「どうしちゃったんだろな。」

明らかにいつもと違う様子のアキ。

それは、私が初めて聞く不安そうなアキの声だった。