そういえば、アキはイラスト描いてるっていってたよね。

ひょっとして、挿話出版から出る本のイラストでも描いてるのかしら?

「アキさんはイラスト描かれてるんですよね?その関係で挿話出版に送られるんですか?」

別にそんなことどうでもよかったけど、このまま沈黙するのも何かと思って聞いてみた。

「あーあ、うん。直太兄から聞いた?っていうか、俺の名前覚えててくれてんの?感激だなぁ!」

アキは、相変わらずちゃらけた調子で答えた。

そうなんだ。

やっぱりイラスト送ろうとしてたんだ。

図星すぎてびっくり。

「直太兄のお嫁さんは、何を送るの?ひょっとして童話の原稿とか言わないでよ。」
 
ちょっと馬鹿にされたような気がして、憮然と答えた。

「その童話の原稿とかですけど。」

アキは大きく見開いた目で、私を見つめた。

この目、なんだか苦手。凝視できない。

耐えきれなくて、視線をそらす。

「へー、直太兄のお嫁さんって童話作家なの?」

「ま、まぁ。そんなにたくさん出してないけど。」

「更にひょっとするんだけど、童話書いてる時のハンドルネームって「春咲」?」

え?!

なんでそんなこと、アキが知ってるの?

「そうですけど・・・。」