長い長い映画鑑賞会が終わったのは四時過ぎだった。
といってもあたしは途中から眠気の限界がきて寝てしまったから、最後まで観ていたのは乃愛と春斗だけだったらしいけど。
あたしと乃愛はあたしの部屋に戻り、一緒に布団に入った。しょっちゅう泊まり合っているから布団を敷くのが面倒になって、いつの間にか一緒に寝るようになった。
「ねえ、悠聖くん超かっこいいね」
「え? ……そう?」
そうか、悠聖ってかっこいいのか。
確かに背が高くてスラッとしているし、話し方とかは優しいし、ちょっと怖そうな雰囲気も乃愛のタイプかもしれない。と、勝手に自己完結した。
悠聖に限らず、あたしはあまり男の人に対して、外見で「かっこいい」と思ったことがあまりない。
まあ乃愛は「超メンクイ」らしいし、乃愛がかっこいいと言うならかっこいいのだと思う。
「超イケメンだし背高いし優しいし、あたしあーゆう人と付き合ってみたい」
「悠聖、彼女いないって言ってたよ?」
「……は? なに言ってんの?」
あれ。今の流れなら大正解の回答だと思ったのに、どうして驚かれるのか。
「あーゆう人が理想って話で、悠聖くんと付き合いたいなんて言ってないでしょ。それにさあ」
理想の人がいるのに、付き合いたいと思わない?
〝理想の人〟と〝運命の人〟は違うんだろうか。よくわからない。
「悠聖くん、どっからどーーー見ても、チナのこと好きじゃん」
「………はあ⁉」
今度はあたしが驚いて、誰かに背中をどんっと押されたみたいに起き上がる。それにびっくりしたのかつられたのか、乃愛も一緒に起き上がった。
――悠聖が、あたしのことを好き?
「え……気づいてないの?」