「い、生吹くんとは、付き合ってないよ?だから、彼女でもなんでもないのっ」

「えーそうなんスね。俺はてっきり――」



と、小太郎くんが私を見て何かを言いかけた時に。

小太郎くんの両目は、思い切り開かれた。

そして――



「伏せて!!美月ちゃん!!!!」



今までの小太郎くんとはかけ離れた俊敏な動きで、即座に私の背後に目標を見つけ、サッと間合いを詰める。

そして私を守ろうと、手を伸ばした。


だけど、



「はい、ざーんねん♡」



私の体は、あっけなく捕まってしまっていた。



「(え、いつの間に……っ)」



小太郎くんに言われてから伏せる暇はなく。

そして、何の足音もなく――

その人物は、無音で急に現れた。