うわぁ。昨日のあのカップル、さっそくみんなの注目を集めてるよ。
今わたしが見ているのは、セブンオーシャンの社内SNS。
広報の人が、カップルごとに作った専用のSNSに、2人の様子をUPしてくれるんだって。
そして、それを見た社員たちの『いいね』や『減点』が、3年後の金の夫婦の卵選定の指針になるらしいんだ。
「なにやってんだよ。ほら、早く行くぞ」
玄関の方から、由井くんの声がする。
「うわぁ……は、はい!」
スマホを慌ててポケットに突っ込むと、机の上に出しっぱなしだったペンケースをつかんでカバンの中に放り込む。
「お待たせしましたっ」
玄関で待ってくれていた由井くんにぺこりと頭を下げると、由井くんは無言で玄関ドアを開けた。
……これってやっぱり、一緒に教室まで行くってことだよね?
靴を履いて廊下に出ると、おそるおそる由井くんの隣に立つ。
そんなわたしをちらっと確認すると、由井くんはゆっくりと歩きだした。
中学生の頃、カップルで登校中の人たちを見ては、
(男の子と手をつないで歩くって、どんな感じなんだろう?)
(ふたりっきりになったら、き……キスとかしちゃったりするの?)
なんて妄想してドキドキしてたけど、まさか自分が男の子と一緒に登校する日が来るなんて、思ってもみなかったよ。
わたしは、隣を歩く由井くんのあいた左手をちらっと見た。
……いやいや、昨日会ったばかりの人だし。
それに、一緒に登校はしてるけど、恋人同士ってわけでもないし?
わたしは、肩にかけたカバンの紐をきゅっと握りしめた。
今わたしが見ているのは、セブンオーシャンの社内SNS。
広報の人が、カップルごとに作った専用のSNSに、2人の様子をUPしてくれるんだって。
そして、それを見た社員たちの『いいね』や『減点』が、3年後の金の夫婦の卵選定の指針になるらしいんだ。
「なにやってんだよ。ほら、早く行くぞ」
玄関の方から、由井くんの声がする。
「うわぁ……は、はい!」
スマホを慌ててポケットに突っ込むと、机の上に出しっぱなしだったペンケースをつかんでカバンの中に放り込む。
「お待たせしましたっ」
玄関で待ってくれていた由井くんにぺこりと頭を下げると、由井くんは無言で玄関ドアを開けた。
……これってやっぱり、一緒に教室まで行くってことだよね?
靴を履いて廊下に出ると、おそるおそる由井くんの隣に立つ。
そんなわたしをちらっと確認すると、由井くんはゆっくりと歩きだした。
中学生の頃、カップルで登校中の人たちを見ては、
(男の子と手をつないで歩くって、どんな感じなんだろう?)
(ふたりっきりになったら、き……キスとかしちゃったりするの?)
なんて妄想してドキドキしてたけど、まさか自分が男の子と一緒に登校する日が来るなんて、思ってもみなかったよ。
わたしは、隣を歩く由井くんのあいた左手をちらっと見た。
……いやいや、昨日会ったばかりの人だし。
それに、一緒に登校はしてるけど、恋人同士ってわけでもないし?
わたしは、肩にかけたカバンの紐をきゅっと握りしめた。