「あのさ、ひとつ確認しておきたいんだけど。水瀬も一攫千金狙い?」
 唐突な質問に、思わずうろたえる。

 だって、わたしの本当の目的なんか、絶対に言えないし!

「ど、どうしてそんなこと聞くんですか?」
「……ま、そんなやつばっかだよな。こんなとこ来るやつなんて。本気で運命の相手(パートナー)と出会えると思って来るようなバカなやつ、いねえわな」
 わたしの質問は完全にスルーされたけど、なんとなく由井くんの質問の意図は理解した。
「ですよねー。お互い一攫千金目指して頑張りましょう!」

『俺は一攫千金狙いだけど、水瀬もそうだよな?』っていう確認、で合ってるよね?

「水瀬、ホントにわかってる? 金の夫婦の卵(ゴールデンカップル)に選ばれたら、即入籍すんだぞ? 俺と結婚できんの?」
「も、もちろんです。そのつもりで来てますから。いや、さすがに今すぐって言われたら困りますけど……でも、ちゃんと3年かけてお互いのことを理解した上でなら……」

 本当は、一番になろうなんて、考えたこともなかった。
 小説のネタになりそうな情報さえゲットできればそれでいいって思って入学しちゃったから。

 どうしよう……わたし、ペアの人が本気で金の夫婦の卵(ゴールデンカップル)を目指してる場合のことを全然考えてなかった。