三日三晩、劉赫は目覚めなかった。

その間劉赫は夢を見ていた。

とても不思議で、悲しい夢だった。

 満開の白梅が咲き誇る木々の下で、仲睦まじく寄り添う若い男女がいた。

 可憐な白梅に見劣りしないほど、二人は美しく、そして幸せそうな笑顔を浮かべていた。

『煉鵬様』

 少女は潤んだ瞳で男の名を口にした。

(……煉鵬。ということは、この青年は俺の父上?)

 歳頃は十八くらいだろうか。

劉赫は先帝が五十歳の時に生まれたので、若い男が自分の父であることに気がつかなかった。

しかしよく見ると亡くなった兄たちや自分にどことなく似ていた。

 隣にいる少女は誰だろう。

母上ではない。

母上はこんな猫のような丸く大きな瞳ではないし、髪色も柔らかな茶色ではない。

 では、この少女は……。

父上と仲睦まじく、恋人のように寄り添っているこの少女は……。

『煉鵬様のお嫁さんになるのがずっと夢だったの。叶えてくれてありがとう』

『うむ、ずっと一緒にいよう』

『たくさん子を産むわ。男の子。煉鵬様に似た、美しく利発な男の子を』

『気が早いな』

『うふふ。だって楽しみなんだもの。私、いい母親になるわ』

『期待しているぞ……麗影』

 ああ、そうか。この可愛らしい少女は麗影様だったのか。

二人は、愛し合っていたのか。

複雑な気持ちになりながらも、幸せで溢れる二人の姿をそっと見守っていた。