side禅

僕は何食わぬ顔でお酒を作りながら
隅のカウンターで悔しげに唇を嚙みながら
目の前のお酒を見つめる萌香にチラリと目を向けた。

なんなのだろう。
あの女と喋ってから妙に胸騒ぎがする..

僕の想い人が離婚したと話した時、本人は隠してたものの
なぜか驚いた表情をしていた。
そして水族館の話をした途端、一瞬だけど
鋭い表情を向けたのだ。

僕は今まで色々な女性と付き合ってきた。
中でも萌香のような女性は一番厄介なタイプなのような気がする。
ちやほやされることに優越感を覚えて
自分が中心でないと分かるや否や
攻撃的な態度を取るのだ。

だけど、憶測だけで色々と勘ぐってしまうのはよくない..

本当に失恋で気が立っているだけかもしれないし。

僕は萌香のことが気になりながらも
新しくお店に入ってきた客に「いらっしゃいませ」と笑顔を向けた。