しかし、「桜良、待てよ」と
その手を竜海さんによって捕らわれる。

「松谷をそういう目では見ていないと
言っただろ?」

そういう目で見ていない人と
ホテルに泊まるのかと写真のことを
思い出して沸々と嫉妬心が湧いてくる

「私には関係ないですからっ」

私は捕まった手を振り払おうとするが
竜海さんはしっかりと掴んだまま離そうとはしない。

「関係ないことないだろ?」

「関係ないですっ、だって私達
もう夫婦じゃないだもっ..んっ...」

そこまで言って竜海さんの唇に私は
唇を塞がれた。

「んんっ...」

息継ぎをゆるさないほどのそのキスは
まるで竜海さんの激情をぶつけるかのようだった。

私は苦しさのあまり逃げるようとするが
竜海さんに後頭部をがっちり捕らえられて逃げることが出来ない。

「竜海さっ、、んは...苦し...っ」

竜海さんは私の苦しげな声が聞こえたのか
ようやく唇を離してくれた。


そして「すまない...」と肩で息をしながら
謝罪の言葉を口にした。

私はふるふると顔を横に振る。

暫く二人の間に沈黙が流れたあと竜海さんが
「だけど関係ないなんて言わないでくれ」
と懇願するように言った。

私は竜海さんのあまりに苦しげな声色に
「ごめんなさい..」と呟いた。

でも、どうして自分はキスをされたのが
分からず、私の頭の中は真っ白になって
次の言葉が出てこない。