少しの間、二人で見つめあっていると
竜海さんは何かに気づいて身を近づけると
私に向かって手を伸ばしてきた。

私は思わずびっくりして身を硬直させる。

そして、竜海さんは私の口元を
親指で優しく拭うと
「ソースついてた..」
笑いながら呟いた。

完全に意識してしまってた私は
理由を聞いて「あっ、ありがとうございます。」と
顔を赤くしながらお礼を言う。

「そういえば、昔、桜良についてたクリームを拭おうとして突き飛ばされたの覚えてる?」

竜海さんはその光景を思い出して笑っている。

「笑わないでください。あの頃はそういう免疫なかったんですから」


「ハハッ。あと、動転して転んでパンツ見えてたこともあったな」

「もうっ、そのことは言わない約束ですっ
思い出すだけで顔から火が出そうなんですからっ」

「ごめんごめん」と言いながら、
尚も思い出して笑っている竜海さんに
私は口を尖らせながらも、笑みを溢した。