「本当に大丈夫か?」

竜海さんはまだ少し心配そうに私を見つめる。

「はいっ、竜海さんのお陰で落ち着きました。ありがとうございます」

あまりの距離の近さに私は
照れくさそうに目線を下にそらしながら
言う。

「あんまり無理するなよ」

竜海さんはそう言って私の頭をポンポンと
叩いた。

私は顔を上げると
竜海さんの瞳をジッと見つめた。

竜海さんの瞳はとても澄んでいて
まるで波立たない海のよう穏やかで優しい。

やっぱり、私は竜海さんが好き...

「桜良...?」

何も言わずに見つめる私に竜海さんは頭を叩く手をピタッと止めた。

暫しの間、見つめ合っていたが
「桜良ちゃん!!」
禅ちゃんの声にふと我に返る。

「桜良ちゃん!大丈夫?」

禅ちゃんは少し息を切らしながら言った。

「うん!心配かけてごめんなさい。
発作も治まったから」

「そっか、良かったぁ」

禅ちゃんはホッと安堵の表情を浮かべた。

そして「はいっ、これっ」
禅ちゃんは私の手に温かいペットボトルのお茶を乗せた。

「あっ、ありがとう」

禅ちゃん、私の為に走って買いに行ってくれたんだ. . .

「疲れたでしょ?
それ飲んで少し体を休めてね」

自分の体を労ってくれる禅に
桜良は胸に温かさが込み上げて
「ありがとう」ともう一度お礼を言った。