「ゲホッゲホッ...
竜海さん、ゲホッ
さっきはごめんなさい..ゲホゲホ」

あんな酷いのこと言ったのにも関わらず 
優しく介抱してくれる竜海さんに
なんだか申し訳ない気持ちでいっぱいになったのだ。

「えっ?」

「酷いことを言ってごめんなさっゲホゲホ」

泣きそうな声で謝っていると
竜海さんのはギュッと抱き締める腕に
力を込めた。

「大丈夫。怒ってないから謝らなくていい」

竜海さんは背中を擦りながら
優しい声で言う。

「でもっゲホゲホ..」

「悪いのは俺だ。
桜良、酷いこと言ってすまない..
俺が大人げなかったんだ。
桜良は悪くないから..桜良は悪くない..」

言い聞かせるように優しく呟く竜海さんに
喉の奥がキュッと悲鳴をあげるようになる。

竜海さん...

私は竜海さんの腕の中で
ポロポロ大粒の涙が流れた。
 
ケホッケホッケホッ..
  
竜海さんが背中を擦っていると
次第に私の咳も和らいできた。