しかしこんな幸運な出会いも仕事上、接点のない私達はもう関わることなんてないと思っていた。
だけど、ある日私が会社の備品庫に事務用品を取りにエレベーターに乗り込んだときのことだった。
エレベーターの扉が閉まりかけたとき、バッと誰かの手が閉まる扉をこじ開けたのだ。
それだけでもびっくりしたのに、入ってきたのが皆藤専務で更に心臓が止まるほど驚いてしまう。
私は思わず皆藤専務の顔を見て“わっ”と
悲鳴をあげてしまい咄嗟に口元を手で覆った。
専務は“???”と言うような顔でこちらを見下ろしている。
私は恥ずかしさを隠すように“何階でしょうか?”と問いかけると専務は“15階を頼む”と
エレベーター内にバリトンボイスが響いた。
きっと専務は私のことなんて忘れてるだろうに一人で意識してしまっている自分が恥ずかしくなる。
しかし、私は平静を装って階数を刻む表示パネルを眺めていると
“君は前に咳き込んでた子だよね?”
専務が後ろから声を掛けてきた。
びっくりしてバッと後ろを振り返ると
カチッと専務の漆黒の瞳に捕まって
私の心臓は壊れそうなくらいドクンと脈打った。
そして咄嗟に出た声は
“はい⤴”と変に裏返ってしまった。
とんでもなく恥ずかしかった。
あまりの恥ずかしさにエレベーターの押しボタンに視線を戻し、顔を赤面させていると
後ろからクククッという笑い声が聞こえてきた。
もう一度、後ろを振り返ると
専務が口元を隠しながら
一生懸命笑いを堪えていた。
あの専務でも普通に笑うんだ...と、思ったのも束の間、自分が笑われてるのだと気付いて
ごほんっと咳払いをした。
そして、“その節は助けて頂いてありがとうございます”と改めて毅然とした態度でお礼を告げた。
だけど、ある日私が会社の備品庫に事務用品を取りにエレベーターに乗り込んだときのことだった。
エレベーターの扉が閉まりかけたとき、バッと誰かの手が閉まる扉をこじ開けたのだ。
それだけでもびっくりしたのに、入ってきたのが皆藤専務で更に心臓が止まるほど驚いてしまう。
私は思わず皆藤専務の顔を見て“わっ”と
悲鳴をあげてしまい咄嗟に口元を手で覆った。
専務は“???”と言うような顔でこちらを見下ろしている。
私は恥ずかしさを隠すように“何階でしょうか?”と問いかけると専務は“15階を頼む”と
エレベーター内にバリトンボイスが響いた。
きっと専務は私のことなんて忘れてるだろうに一人で意識してしまっている自分が恥ずかしくなる。
しかし、私は平静を装って階数を刻む表示パネルを眺めていると
“君は前に咳き込んでた子だよね?”
専務が後ろから声を掛けてきた。
びっくりしてバッと後ろを振り返ると
カチッと専務の漆黒の瞳に捕まって
私の心臓は壊れそうなくらいドクンと脈打った。
そして咄嗟に出た声は
“はい⤴”と変に裏返ってしまった。
とんでもなく恥ずかしかった。
あまりの恥ずかしさにエレベーターの押しボタンに視線を戻し、顔を赤面させていると
後ろからクククッという笑い声が聞こえてきた。
もう一度、後ろを振り返ると
専務が口元を隠しながら
一生懸命笑いを堪えていた。
あの専務でも普通に笑うんだ...と、思ったのも束の間、自分が笑われてるのだと気付いて
ごほんっと咳払いをした。
そして、“その節は助けて頂いてありがとうございます”と改めて毅然とした態度でお礼を告げた。