好きな人を探していると、背の高くて綺麗な黒髪の後ろ姿を見つけた。
「……いた」
「え、まじどこ?」
咲は私の頭に顎を乗せてきょろきょろし始める。
休憩時間なのか何なのか分からないが、荻原先輩らしき人が汗をシャツで拭いながら水筒の方へと向かって行き、やっとその顔が見えた。
水筒の水を勢いよく飲んでいたのは、紛れもない荻原先輩だった。
先輩の顔を汗がなぞり、床に一、二滴ポタポタと落ちた。
休憩時間が終わったらしく、他の部員達が立ち上がり、コーチの元へ歩いて行った。荻原先輩も、それに続いてコーチの方へ向かっていた。