体育館の扉の前まで来ると、少し緊張して来た。胸に手を当てると、いつもよりも早く心臓が高鳴っていた。
「緊、張するね」
咲の方は見ずに、頑丈そうな扉を見つめて言った。
「あははっ、琴音が緊張してる〜」
「ちょっと馬鹿にしてない?」
「してないでーす」
扉の前で笑い合う私たちは、傍から見たら変な人に見える…と思う。
しかし本題はそこじゃない。私は荻原先輩を見に来たんだから。目の前にある重すぎるほどの扉を五センチぐらい開けた。
キュッ、キュッと体育館シューズの擦れる音が響く。
バレないようしゃがみ込み、右目を覗かせて荻原先輩を探す。
「緊、張するね」
咲の方は見ずに、頑丈そうな扉を見つめて言った。
「あははっ、琴音が緊張してる〜」
「ちょっと馬鹿にしてない?」
「してないでーす」
扉の前で笑い合う私たちは、傍から見たら変な人に見える…と思う。
しかし本題はそこじゃない。私は荻原先輩を見に来たんだから。目の前にある重すぎるほどの扉を五センチぐらい開けた。
キュッ、キュッと体育館シューズの擦れる音が響く。
バレないようしゃがみ込み、右目を覗かせて荻原先輩を探す。