「そういや、もうすぐ誕生日だっけ」
私が思い出すように言う。
「何の話?」
咲が何も知らない、みたいな顔でボケっとしている。
「やだなぁ、智輝の事だよ」
あらやだ奥さん、みたいなイメージで巫山戯て言ったつもりの私に、咲は顔を赤らめた。
「あ……そういえば確、かに…」
咲の始めて見た顔。耳まで真っ赤だ。

「咲…?」
咲が動揺している。
「咲、智輝のこと…」
そう言い掛けると、咲の顔はもっと赤くなった。私は確信を掴んで、頬を緩めた。
「好きなんだね…」