まさかこの狼にそんな機能まであったとは。
ただの防犯ブザーじゃなかったんだ。
「櫻子さんってすごいな」
私がそう口にすると、怜央と委員長が声を揃えて「なんで櫻子」と首を傾げる。
「だって、これ櫻子さんが作ったんでしょ?」
「えっ?ああ、そういえばそんなことになってたか。それを作ったのは俺だよ水瀬さん。喧嘩もせず、手芸が趣味の暴走族なんて舐めらると思って隠してたんだ」
「い、委員長が?」
「うん。櫻子に持っててほしかったから。他の奴らのはついで。でも、役に立って良かったよ」
櫻子さんに持っててほしかった……?
「あの、委員長と櫻子さんの関係って?」
「彼女だけど?」
「えっ、櫻子さんは怜央と両想いなんじゃないの!?」
倉庫内には私の声が響き渡り、皆の視線が一気に集まる。
「なんかややこしいことになってるね。俺らは闇狼のアジトに戻るから、ちゃんと説明しろよ怜央。皆ー!志貴くんの誕生日パーティー仕切り直そう」
委員長はそう言うと闇狼のメンバーと志貴、新那を連れて倉庫を出る。
必然的に2人きりとなった怜央と私。