「お、お願い。黙ってて。こんなことが知られたら私……」
「じゃあ、わかるよね?」
「も、もう狂猫には関わりません」
委員長の一言であっさり狂猫から手を引く彼女。
すると、その言葉を聞いた狂猫のメンバー達は「報酬がねぇならやってられっかよ」と傷だらけの体を引きずりながら出て行った。
お金で繋がっていた関係はこんなにも脆い。
「嘘だろ……」
その様子に今度は香坂が膝をつく。
「なんでお前ばっかり慕われんだよ……。闇狼の奴らはどれだけ金を積んでも“蓮見蓮見”って俺に見向きもしなかった」
香坂は闇狼のようなチームを作りたかったのだろう。
怜央に固執していたのもきっとそれが理由。
「本物の仲間がほしいなら、金なんかに頼んな。てめえの言葉で、行動でチームを引っ張るんだよ」
その言葉が香坂に届いたのかはわからない。
だけど、香坂はもう姫ではなくなった美李亜の肩を抱き倉庫から出て行った。
「俺らも帰りますか」
委員長の言葉にこの抗争は終わったのだと実感する。
「そういえば、どうしてここがわかったの?」
「あー、それはその狼のおかげ。実はGPSと盗聴器が仕込まれてるんだ。あ、安心して盗聴器は今日みたいに水瀬さんに何かあった時にしかONにしてないから」